【ホームセンター接客日記】「高い肥料を買えば咲くの?」レジで聞かれた素朴な疑問。亡き夫が教えてくれた「土と根っこ」と「本当の水やり」

3回目の結婚生活

ホームセンターのレジに立っていると、毎日たくさんのお客様とお会いします。

お花や野菜の苗と一緒に、一番高い高級肥料をカゴに入れてレジに来られるお客様。

「これをあげれば、きっと綺麗に咲きますよね!」と笑顔で話しかけられるたび、私は心の中で「あぁ、昔の私と同じだ…」と苦笑いしてしまいます。

実は、ガーデニング歴30年のベテランだった亡き夫によく叩き込まれたのが、「肥料の前に、まず土と根っこや!」という基本中の基本でした。

生きている頃は「肥料をやれば育つと思うな!」「そんなに水ばっかりやるな!」なんて呆れ顔で叱られてばかりでしたが(笑)、その教えは今、売り場でお客様と接する私の大きな助けになっています。

今回は、初心者がついつい陥りがちな「肥料の罠」と、夫が残してくれた「失敗しない水やりのコツ」、そして植物を元気にする一番大切な知恵をお話しします。

「高い肥料をあげているのに枯れる」の謎

「売り場で一番効きそうな肥料を選んだのに、なんだか芽が萎れてきちゃって…」

レジや売り場でご相談を受けるとき、意外と多いのがこの「愛ある失敗」です。

お花を元気にしたい、たくさん咲かせたいという気持ちから、ついつい肥料を多めにあげたり、良いものをドバッと与えてしまったりするんですよね。

でも、夫はよく言っていました。

「弱ってる植物に強い肥料をやるのは、熱を出して寝込んでる人間に『うな重』食わせるようなもんやぞ!」

当時の私は「えっ、元気がないから栄養をあげるんじゃないの?」とぽかんとしてしまいましたが、例えを聞いて納得しました。

根っこが傷んでいたり、芽が出たばかりで体力がなかったりする時に濃い肥料を与えると、かえって根っこが負けて枯れてしまう(根やけを起こしてしまう)のだそうです。

「可愛いから」と毎日水をあげて激怒された日

肥料と同じくらい初心者がやってしまいがちなのが、「水やりのやりすぎ」です。

私も昔、お花が愛おしくてたまらず、朝も夕方も毎日毎日、決まった時間にお水をあげていました。

ある日、鉢植えの土がまだしっとり濡れているのに、ジョウロでジャバジャバ水をかけている私を見て、夫がすっ飛んできました。

「アホか!溺れさせる気か!!」

雷が落とされました(笑)。

夫いわく、根っこは「水」を吸うだけでなく、「酸素(空気)」も吸って息をしているのだそうです。

土がずっと湿ったままだと、鉢の中が酸素不足になり、根っこが息できずに腐ってしまう(根腐れ)。

「水やりっていうのはな、ただ水分を補給するだけやないねん。土の中の古い空気を追い出して、新しい空気を送り込む作業なんや」

夫が教えてくれた「本当の水やりのコツ」は、以下の3つでした。

「受け皿に溜まった水は絶対に捨てる」 受け皿に水が溜まったままだと、底から空気が入れず、根っこがずっとお風呂に浸かりっぱなしで腐ってしまう。

「土の表面が乾くまで、じっと我慢する」 見た目がちょっと乾いていても、指を少し入れて湿っていたらまだあげない。メリハリが大事!

「あげるときは、鉢底から溢れ出るまでタップリと」 チョロチョロと表面だけ濡らすのは一番ダメ。鉢の上からたっぷり注ぐことで、上からの水が押出機(押し出しポンプ)の役割を果たし、鉢の中の古い空気を底から押し出して、新しい空気(酸素)を引き込む。

これを聞いたとき、「水やりって、植物との呼吸の合わせっこなんだな」と深く納得したのを覚えています。

夫に呆れられた「土づくり」の大切さ

私が「もっと咲かせたいから肥料買ってきていい?」と夫に聞いた時もそうでした。 夫は呆れた顔で庭の土を指さしました。

「肥料の前に、まず『土』や。根っこが息できる土じゃなきゃ、どんな高級な肥料をやっても全部ムダになる」

植物にとって、土は「家」であり、根っこは「口と鼻」。

水はけが悪くカチカチになった古い土だと、根っこが元気に伸びることができません。

  • カチカチの土は、植え替えの時に新しい培養土にする
  • 庭土なら、腐葉土などを混ぜてふかふかにしてあげる

「根っこが元気に根を張って初めて、ごはん(肥料)が活きてくるんだよ」

口数は少ないけれど、理由をきちんと教えてくれる夫の言葉に、私は「へぇ〜〜!」と感心するばかりでした。

ホームセンターのレジで伝える「夫の教え」

今年4月に夫が旅立ってから、我が家の庭のお世話はすっかり私の担当になりました。

レジでお困りのお客様に「まずは土が乾くまでお水を我慢してみてくださいね」「鉢底から流れるくらいタップリあげるのがコツですよ」とお話しすると、とても驚かれ、そして喜んでいただけます。

「聞いて良かった、ありがとう!」と言われるたび、背後で夫が「フン、少しは勉強したようだな」とニヤリと笑っている気がするのです。

高価な肥料を買う前に、まずは土の乾き具合を確かめてみること。 そして、鉢底から空気が通るようにたっぷりとお水をあげること。

基本を守ってあげれば、安価な苗だってびっくりするほど元気に大きな花を咲かせてくれます。 皆さんもぜひ、お家の植物たちと「呼吸を合わせる水やり」を試してみてくださいね。

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