「いつ死ぬか分からないから、今使う」
そう言って60歳で年金を繰上げ受給し、貯金をパチンコで使い切った夫。 定年後の自由な時間を謳歌し、最期まで自分の流儀を貫いた彼との8年間の結婚生活は、私にとって驚きと学びの連続でした。
赤字家計に頭を悩ませ、家族への出費に心を痛めた日々。それでも私は、「自分の身は自分で守らねばならない」と、フルタイムで働き、自身の年金を増やす道を選びました。
70歳で夫を看取り、遺族年金の手続きを終えた今、私が感じているのは「感謝」と「これからの夢」です。人生の先輩として、お金とどう付き合い、どう自立して生きていくのか。私の実体験を通した「老後のリアル」をシェアしたいと思います。

「俺のお金は俺のもの」60歳から始まった夫の自由な隠居生活
夫は60歳で定年退職した際、迷わず「年金の繰上げ受給」を選びました。年金事務所の方からは「65歳まで待てば増額されますよ」と助言をいただいたそうですが、本人は「早めにもらわんと、いつ死ぬか分からん」と一蹴。
会社側から65歳までの再雇用を打診されても、「仕事は同じなのに給料が安い」と断固拒否。退職金と完済した住宅ローンを後ろ盾に、彼は文字通り「隠居生活」に入りました。
驚いたのはその生活スタイルです。なんと、最初の1年間はパチンコ三昧。本人は「500万くらい使った」と言っていましたが、計算する限りその倍の1000万は使っていたはずです。それでも、誰に何を言われようと「俺のお金は俺が好きなように使う」という姿勢は、ある意味で徹底されていました。
毎月続く赤字家計の中で、私が決断したこと
62歳で再婚後、家計を預かる身となってからは頭を抱える毎日でした。夫は自分の年金や貯金を、娘さんのための化粧品や洋服、ゲームソフト、高額な歯科矯正にまで惜しみなく使います。
「主人の稼いだお金なのだから」と口を出すまいと決めていたものの、毎月届く赤字の通知。娘さんからの「ありがとう」の言葉がないことに寂しさを覚えることもありました。
夫に赤字を伝えると、彼もアルバイトを始めてくれましたが、少し余裕ができるとすぐに中古の車を買ったり、ストレス解消と称してパチンコへ通い、一ヶ月で150万円を費やすこともありました。
この時、私は痛感したのです。 「誰かに頼るのではなく、自分の身は自分で守らねば!」と。 私は自分の年金を増やすために、体力と相談しながらフルタイムで働き、年金の繰下げ受給を決意しました。
夫が人生の最期に残してくれたもの
そんな夫も65歳で癌が見つかり、闘病生活が始まりました。当然、パチンコへ行く余裕はなくなり、治療費がかさむ日々。高額療養費制度を使っても、貯金は目減りする一方でした。
今年70歳を迎えた4月、夫は永眠しました。
「俺のお金は俺が好きなように使う」と言い続けた彼でしたが、人生の最後を締めくくる必要最小限のお金は、しっかりと残してくれていました。 今思えば、60歳から年金を繰上げてパチンコに1000万以上使い切ったあの8年間は、彼にとって「やり残したことのない人生」を完成させるために必要だったのかもしれません。
70歳、遺族年金で生きる今の私
先日、ようやく遺族年金の手続きを終えました。 主人の厚生年金を基準とした遺族年金と、自分自身の年金。贅沢をしなければ、これで十分に生きていける。そう実感しています。
この8年間の波瀾万丈な結婚生活は、私にお金の使い方や、家族への向き合い方を教えてくれる最高の教科書でした。
夫には「貴重な学びをくれてありがとう!」と言いたいです。 私、70歳。まだまだ身体が動く限り仕事します。これからの夢は、ひ孫と遊ぶこと。夫の分まで、元気に100歳まで生き抜こうと心に誓っています。
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