人生100年時代と言われる今、YouTubeやSNSでも「シニアの再婚事情」を目にする機会が増えました。
第二の人生を誰かと穏やかに歩みたい――そう願って踏み切る再婚ですが、現実は「家政婦のように扱われた」「金銭面で揉めた」といった苦い結末を迎えるケースも決して少なくありません。
私自身、62歳のときに3回目の結婚をしました。
お相手は高校の同級生で、若い頃にお付き合いしていた元カレ。
「昔の彼をよく知っている」という安心感、そして結婚前に彼が語ってくれた「理想の夫婦像」や甘い言葉の数々に、私は「今度こそ大丈夫、最後の幸せを掴める」と信じ切っていました。
しかし、いざ暮らしが始まると、彼が口にしていた言葉はすべて真っ赤な嘘だったのです。
8年間の結婚生活、そして4年間の闘病の末に夫を見送った今だからこそ言える、シニア再婚の現実と心の葛藤。
昔を知っている相手だからこそ陥ってしまった罠について、私のリアルな体験をお話しします。

「私を幸せにすることが自分の幸せ」甘い言葉を信じた62歳の再婚
62歳で3回目となる結婚を決めたとき、私は心から安心していました。
相手は高校の同級生で、私の若い頃を知る元カレ。私のきょうだいや親友たちもみんな彼のことを知っており、「気心の知れた相手なら間違いない」と誰もが応援してくれたのです。
何より、結婚前の彼は本当に魅力的な言葉をたくさん並べてくれました。
「楽しそうな君を見ると自分も楽しくなる。君を幸せにすることが、自分の幸せなんだ」
「意見が食い違った時はお互いに一歩ずつ引こう。どちらか片方だけが我慢するのはやめよう」
「対等なんだから、本音でわがままを言っても嫌いになったりしないよ」
さらに「二人でしたいことリスト」を作ろうと提案され、映画やカラオケ、ローカル電車での小旅行など30項目もの夢を語り合いました。
「なんて素晴らしい人なんだろう。この人となら、お互いを尊重し合える穏やかな老後が送れる」と、私は胸を躍らせていました。
暮らし始めて一変。「騙されたお前が悪い」というモラハラの日々
しかし、入籍して生活が始まると、現実は音を立てて崩れていきました。
30項目あった「したいことリスト」の中で、8年間で実現したのは「一緒に買い物に行く」という日常の1つだけ。小旅行も映画もカラオケも、すべて口先だけでした。
それどころか、日頃の会話は常に命令口調。共感してくれることなど一切なく、冷たく睨みつけるような視線と人格否定の言葉が日常になりました。
約束と違うことや明らかな嘘を指摘すると、返ってくるのは決まってこの言葉です。
「誰のおかげで飯が食えてると思ってんだ!」 「誰のおかげで雨風しのげる家に住めてると思ってんだ!」
嘘をついたことを謝ってほしいだけなのに、「死んでも謝らん!」と怒鳴り散らすばかり。
妹や友人に相談しても、「昔の彼を知っている」だけに「まさかあの人が…?」「お姉ちゃんが何か怒らせるようなことしたんじゃないの?」と、すぐには信じてもらえない辛さもありました。
ある日、なぜあんな嘘ばかりついたのかと問い詰めたとき、夫が放った一言は今でも忘れられません。
「あれは社交辞令や。騙されたお前が悪い!」
シニア再婚の難しさと、限界の先に訪れた看取り
YouTubeなどのシニア再婚体験談を見ていると、夫やその親族から「家政婦扱い」されたり、自分の貯金を持ち出されたりして傷ついている女性がたくさんいます。
もう若くはなく、身体のあちこちが痛む年代での精神的・肉体的な負担は本当に過酷です。
結婚前の話し合いが大事だと言われますが、私の夫のように「平気で嘘をつく人」相手では、事前の約束すら何の意味も持ちませんでした。
大好きだった気持ちは急速に冷め、「いつか離婚しよう」と決意しながらも、私の心は壊れる寸前でした。
そんな限界のタイミングで判明したのが、夫の癌でした。
そこから始まった4年間の闘病生活。
病気になっても彼の頑なな性格が変わることはなく、介護と看病の日々は本当につらいものでした。
そして今年4月、夫は一度も「ごめん」と言わないまま旅立ちました。 亡くなった瞬間、私の目から涙は一滴も出ませんでした。
「昔を知っている」からこそ見落としてしまうもの
昔の恋人や同級生との再婚は、「若い頃を知っているから安心」と思いがちです。
けれど、何十年もの歳月が経てば、人は良くも悪くも変わります。重ねてきた人生経験や価値観、身についた生活習慣は、昔の思い出だけで埋められるものではありませんでした。
夫を見送った今、私の心にあるのは「やっと終わった」「自由な時間を返してくれてありがとう」という、清々しいほどの解放感です。
シニアの再婚には、若さゆえの勢いとは違う複雑さと難しさがあります。
これからは誰の機嫌を伺うこともなく、自分のための時間とお金を大切に、気楽で自由な一人暮らしを思い切り楽しんでいこうと思います。
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