生涯独身の生き方と生きた証とは?70代の同級生2人が教えてくれた「お金の使い方」と「人生の後悔」

今年で70歳を迎えた私。最近、九州の同級生たちの近況に触れ、人生の歩み方について深く考えさせられる出来事がありました。

今回ご紹介するのは、同じ「生涯独身」という道を歩んできた、対照的な2人の男友達のお話です。

大病をきっかけに「生きているうちに思い出にお金を使おう」と、姪っ子一家7人の関西旅行を全額男気払いした友。そしてもう一人は、中学時代の「ある人気投票」がきっかけで人生の歯車が変わり、今は病と闘いながら過去を悔やむ友。

4月に夫を亡くした私を温かく支えてくれる同級生たちの絆と共に、彼らの生き方から見えてくる「人生の選択」と「生きた証」について綴ります。

大病を乗り越えて。「思い出にお金を使いたい」と語った男前な友

今年70歳になる、九州の同級線の男友達がいます。 彼は大手企業を60歳で定年退職した後、故郷へ戻って立派な家を建てました。面倒見が良く、本当に優しい性格の持ち主です。

実は彼、これまでに一度も結婚を経験していない「生涯独身」。 同級生の間でも、なぜ彼が独身なのかは、優しさゆえに深くは聞けない暗黙の了解でした。

そんな彼が昨年、なんと姪っ子一家を連れて、総勢7人で3泊4日の関西旅行に出かけたというのです。 大阪万博、USJ、京都、奈良……。 なんと、その旅行費用を「全額彼が支払った」というから驚きです!なんて男前なのでしょう。

実は彼、かなりの健康マニアで、何かあるとすぐ病院に駆け込むタイプでした。ところが2年前、健診で「要大腸検査」が出た際、なぜか検査に行かなかったのです。怖い気持ち、分からなくもありません。 しかし数ヶ月後、大腸がんが発覚し、緊急手術を受けることになってしまいました。

幸いにも、その後の定期検診では再発もなく元気に過ごしています。 その大病が、彼の人生観を大きく変えました。

「身体が動けるうちに、思い出にお金を使おうと思った」

旅行は予定よりも大幅に予算オーバーしたそうですが、「楽しさも予想以上にオーバーした!」と嬉しそうに語る彼。 誰かが喜ぶことのために、自分の築いたお金を気持ちよく使う。そんな彼の姿に、心から「良かったね」と拍手を送りたい気持ちでいっぱいになりました。

今回、4月に私の主人が旅立ったことを彼に伝えると、すぐに故郷の友達みんなに知らせてくれました。その細やかな優しさに、どれだけ救われたか分かりません。 「帰ったらまた、みんなでプチ同窓会しようね!」心からそう願っています。

中学2年生の「人気投票1位」が変えてしまった、もう一人の彼の人生

そして、私の心に今も切なく残っている、もう一人の生涯独身の同級生がいます。

中学2年生の時、彼とは同じクラスでした。 愛くるしい顔立ちで、いつもニコニコ。誰に対しても話しやすい性格で、クラスの人気者でした。

ある日、女子の間で「男子の人気投票」をしたことがあります。 クラスには他にもかっこいい男子が数人いたのですが、結果はなんと彼がダントツの1位! 本人に伝えると、目をまんまるにして驚いていたのを今でもよく覚えています。

それから46年後。還暦の同窓会で再会した彼は、髪こそ薄くなっていたものの、あの愛くるしい目は当時のままでした。 彼もまた、一度も結婚していませんでした。その理由を尋ねると、切ない本音が返ってきたのです。

付き合ってもなかなか結婚まで至らず、その後6回のお見合いをしたという彼。しかし、心の中でどうしてもあの思い出が邪魔をしたと言います。 「中学2年生の時、あのかっこいい奴らを抜いて人気投票1位になった俺や。もっといい女性に会えるに違いない……」

そのプライドから、相手が自分を気に入ってくれていたにもかかわらず、3人のお見合いを自分から断ってしまったそうです。残り3人からは断られたそうですが、彼は「高望みをしてしまった自分を、ずっと悔やんでいる」と静かに語ってくれました。

あの中学時代の人気投票は、「外見がかっこいいから」ではなく、彼の「いつもニコニコして話しやすい人柄」が素敵だからこその1位だったのです。 でも、14歳だった彼にとっては、その後の人生を縛るほどの強烈な成功体験になってしまったのかもしれません。もし、あの時人気投票をしていなければ、彼の人生は違うものになっていたのでしょうか……。

生涯独身、子どもがいない。「生きた証」はどこに残るのか

彼は今、パーキンソン病を患い、施設に入所しています。 ご両親もすでに他界され、身寄りは一人。

私の主人が生きていた頃、60歳を過ぎてからも、たまに彼と電話で話をしていました。癌と闘っていた主人と彼は、「お互い病気と戦って勝とうな」と励まし合っていた仲です。しかし近頃では、体調のこともあり、同窓会の飲み会にも顔を出せなくなってしまったと聞きました。

生涯独身で、子どもがいない人生。 「自分の生きた証がこの世に残らないのだろうか……」と考えると、どうしても胸が締め付けられ、寂しさが込み上げてきます。

しかし、姪っ子たちに最高の思い出をプレゼントした彼の心の中にも。 そして、かつてクラスを笑顔にし、今も私たちの記憶の中で愛くるしい目をしている彼の足跡の中にも。 形は違えど、彼らが周りに与えてくれた温もりは、確かにこの世に残っています。

それぞれの選択があり、それぞれの人生がある70歳。 病気と闘う彼に、心の中でそっとエールを送りながら、今ある絆を大切に生きていきたいと思う今日このごろです。

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