夫が遺した庭とプランター整理|死別から4ヶ月、実のなるイチジクと引き継げない花たち

3回目の結婚生活

2026年4月に夫を見送ってから、早いもので4ヶ月が過ぎました。

家の中の片付けだけでなく、いまだに手探りで進めているのが「庭とプランターの遺品整理」です。

夫が丹精込めて育てていた季節の花や鉢植えは、ご近所の方々にも親しまれていた大切な夫の生きた証。

けれど、私の今後の引っ越しや家の引き継ぎを考えると、そのまま残しておくわけにはいきません。

日々の水やりひとつ取っても、受け継ぐ難しさを痛感する現実。

今回は、父から教わった植物への想い、妹の本格的な庭づくりとの違い、そして今年に限って驚くほど実をつけた夫のイチジクについて綴ります。

「お花が減ったわね」ご近所さんの言葉に胸が詰まる日

夫が逝って4ヶ月。我が家の玄関先や庭にあったプランターを、少しずつ減らしています。

先日、会社の先輩でもあるご近所さんから「近頃、お花が減ったわね」と声をかけられました。

「はい、もう主人が居ないので花は増えません。どんどん減らしていくんです」 そう答えると、「そうなのね……いつも綺麗なお花がたくさんあって、通るのが楽しみだったわ」と寂しそうに仰ってくださいました。

毎朝ワンちゃんの散歩で前を通る自治会の方からも、「花、随分減ってますね」と。

夫が手をかけていた花たちは、知らず知らずのうちにご近所の景色の一部になっていたのだと改めて実感します。

私は遅くても来年にはこの家を出て引っ越す予定です。

62歳で再婚した夫の一人娘がこの家に住むことになり、名義変更も無事に終えました。 ただ、彼女はガーデニングには全く興味がありません。私が数日留守にするだけで、プランターの土はカラカラになってしまいます。

このままでは枯れてしまうのが目に見えています。少しでも命をつなぐため、地植えにできる花は地面に植え替え、プランターそのものを片付けていく毎日です。

父から受け継いだ花への愛、妹の徹底した庭づくり

思えば、子どもの頃に草木の名前や育て方を教えてくれたのは私の父でした。

真夏の炎天下に水をやってしまい、大事なキリシマツツジを何本も枯らしてしまったときのこと。

母にはひどく叱られましたが、父は怒りませんでした。 「いい、いい。水やりの時間を間違えただけや。これで覚えたな」 そう笑って許してくれた父のおかげで、私も妹も自然と植物が好きになりました。

特に妹は父の情熱をそのまま受け継ぎ、今ではバラをはじめ四季折々の花が咲き誇る、近所でも評判の庭を作っています。

専門書を定期購読し、カレンダーには手入れの予定がびっしり。その博識ぶりはまるで父の講義を聞いているかのようで、「私にはとても真似できない」と圧倒されます。

妹はランも大好きで、同じくラン好きだった私の夫から育て方を教わっていました。生前、夫が30年大切に育てていた鉢をひとつ妹に譲ったほどです。

「最低気温が10度を下回ったら室内へ、10度を超えたら屋外へ」 庭にはまだ夫のランが10鉢ほど残っています。義娘にこの細やかな管理は無理でしょう。

「これも妹に送ってあげたほうがいいのかな……」と、鉢を見つめながら悩む日々です。

剪定した木に実った、夫のイチジク

8年前、夫が庭に植えたイチジクの木があります。 毎年晩秋になると夫が枝を切り落とし、翌年の夏にまた枝を伸ばして実をつけるのが毎年のサイクルでした。

今年の4月、夫が旅立ったあと、伸びていた枝を私が少しだけ切り落としました。 すると残った枝に、今年は驚くほどたわわに実がついたのです。

ざっと数えても70個超。なんと昨年の倍以上の大豊作です。まるで夫が「しっかり実をつけろよ」と最後に力を込めてくれたかのように思えてなりません。

けれど、この家を離れる日が来ます。

3年前に植えた渋柿の木と同じように、今後お隣やご近所の迷惑にならないよう、実を収穫したらノコギリで短く切り詰めるつもりです。

植物という生きている遺品を片付けるのは、物以上に胸が痛み、時間がかかります。

それでも、ひとつひとつの命に区切りをつけながら、一歩ずつ前に進んでいこうと思います。

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