【実話】50年前、20歳で嫁いだ酪農の家。元義父の闘病、離婚、そして三代にわたる「孫と子の愛し方」

3回目の結婚生活

今から50年前、20歳の若さで酪農と農業を営む家に嫁ぎました。

朝5時の乳搾りから始まる過酷な日々、年中無休の農作業、そして家族の病気と突然の廃業。

さらには元夫の度重なる裏切りによる離婚など、振り返れば波乱万丈な時間を駆け抜けてきました。

当時の記憶を辿ると、苦労と同じくらい鮮明に思い出すのが「親から子、そして孫へ注がれる愛情の不思議な違い」です。

自分の子どもを膝に乗せたこともなかった堅物の義父が、初孫に見せた驚きの素顔。一方で、娘である私たち姉妹を溺愛しすぎた実父に、孫たちが抱いていた意外な本音。

月日が流れ、自分自身が祖母となった今だからこそ見えてくる、家族三代の記憶と愛のかたちについて綴ります。

朝5時の乳搾りから始まる、365日休みなしの酪農生活

20歳で嫁いだ先は、酪農と農業を生業とする家でした。

朝は5時起きで牛の世話と乳搾り。昼と夕方は餌やり、時には牛のお産を手伝うこともありました。酪農の世界に「休み」という言葉はありません。

義両親が二人きりで旅行に出かけることなど一度もなく、毎日が牛と土に向き合う日々でした。

細かいことをくどくどと言いがちな義父は、大らかな私の実父とはあまりに違っていて、正直苦手な存在でした。

しかし、義母はそんな義父の性格をよく分かっていて、私のことを娘のようにとても可愛がってくれました。その優しさに、どれほど救われたか分かりません。

義父の病気と酪農の廃業、結婚35年目の初旅行

結婚から4年後、義父に胃がんが見つかり、切除手術を受けることになりました。

元夫は酪農を継ぐ気がなく、もちろん農業を継ぐ気もありませんでした(繁忙期に少し手伝う程度)。

義父の病気を機に、我が家は酪農を廃業することになりました。義母が元気な間は細々と農業を続けることになりましたが、暮らしは大きく変わりました。

退院後、義両親は別府の鉄輪温泉へ1ヶ月間の湯治に出かけました。結婚して35年、休みなく働き詰めてきた二人が初めて行った夫婦旅行です。

朝昼晩と温泉に浸かる療養生活がとても良かったようで、滞在をもう1ヶ月延長したほどでした。あれが最初で最後の、二人のゆっくりとした時間だったのかもしれません。

元夫との離婚と、元義父の早すぎる最期

その後、元夫の度重なる浮気と家庭を顧みない無責任さに限界を迎え、私は離婚を決意しました。

元夫は離婚後半年で養育費を払わなくなり、1年後には9歳年下の子持ちの看護師さんと再婚。

それから1年ほど経った頃、元義父は亡くなりました。がんが転移していたのだと思います。享年58歳、還暦を迎える前の早すぎる旅立ちでした。

村中のニュースになった、堅物の元義父が見せた「初孫」へのデレデレぶり

苦手だった元義父ですが、初孫である私の長女のことは本当に可愛がってくれました。

義母から聞いた話では、義父は自分の3人の子どもたちを膝に乗せたこともなく、子煩悩とは無縁の人だったそうです。そんな義父が、ある日なんと孫をおんぶして自治会の寄り合いに行ったのです。

集まった村の人たちは大パニック。

「あの頑固な親父が孫をおんぶしている!」と大騒ぎになり、翌日には村中に知れ渡るほどの一大ニュースになりました。

子煩悩すぎる実父と、孫たちが気づいていた「意外な本音」

対照的だったのが私の実父です。とにかく子煩悩で、私たち姉妹は思春期になっても父が大好きでした。腕を組んで一緒に買い物に行くほど仲が良く、大人になってもその絆は変わりませんでした。

しかし、父が亡くなってから、大人になった孫たち(私の娘や姪っ子たち)から意外な話を聞きました。

「私たち、おじいちゃんは自分たちよりママたちのほうが可愛いんだって分かってたよ」

孫たちを可愛がっていないわけではないのです。

ただ、娘である私たちに向ける言葉や態度から「愛しくてたまらない」という感情が溢れ出ていて、子ども心にそれをはっきりと察していたそうです。

父自身は無意識だったと思いますが、孫たちが口を揃えてそう言ったのには驚きました。

三代にわたる「愛のかたち」を振り返って

一方で、普段は子ども嫌いだった私の実母は、一番幼い孫を一番可愛がっていました。

  • 我が子に厳しかった義父や母 ➡️ 孫には目がないほど甘い
  • 娘を溺愛した実父 ➡️ 孫よりも我が子への愛が一番

親から子、そして孫への愛情の注ぎ方は本当に人それぞれで、今思い返しても不思議で面白いものです。

私も今、孫たちが可愛くて仕方がありません。

果たして孫たちの目には、私の愛情はどう映っているのでしょうか。「いつか孫が大人になったら、そっと聞いてみよう」と密かに楽しみにしています。

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