還暦過ぎて始めたホームセンターのレジ日記|一番過酷な「資材レジ」まで3年かかった私の日常と出会い

3回目の結婚生活

「定年後、何か新しい仕事を始めてみたい」

「シニアでもホームセンターのバイトは務まるだろうか?」そんな不安や疑問を抱いていませんか。

私は還暦を過ぎてから、地元でも有数の大型ホームセンターで働き始めました。

一口に「レジ」と言っても、店内の場所ごとに求められるスキルや厳しさはまったくの別物。

基本の中央レジから始まり、目が回るようなセルフレジ、季節の寒暖差と闘うガーデニングの外レジ、そしてプロの職人さんたちが飛び交う最難関の「資材館レジ」まで、実に奥深い世界が広がっています。

仕事の要領がお世辞にも良いとは言えない私が、資材レジを任されるまでにかかった歳月はなんと3年。

冷や汗をかきながら駆け抜けて、気がつけば私も70歳になりました。

立ち仕事や力仕事の多さに「キツい!」と感じる日も少なくありませんが、それでも続けてこられたのは、レジ越しに出会うお客さんたちの愛おしい人間ドラマがあるからです。

今回は、70歳の私が現場で体験したホームセンターレジのリアルな現場事情と、思わずクスッと笑えて胸が温かくなった忘れられないエピソードをお届けします。

ホームセンターのレジは場所ごとに全く違う!攻略ステップ

大型ホームセンターのレジは、時間割で担当エリアをローテーションします。「ピッ」とバーコードを読み取るだけだと思ったら大間違い。場所ごとに求められるスキルが全く異なります。

1. 中央レジ(基本のキ)

すべてのスタート地点です。ここでレジ操作の基本や金銭授受、袋詰めなど、仕事全体の7割ほどをしっかり叩き込みます。

2. セルフレジ(マルチタスクの極み)

1人で6台の画面を同時に監視します。これが想像以上に忙しいポジション。「これどこにあるの?」と立ち止まってお客様に聞かれた瞬間、残り5台への目配りがストップしてしまいます。トラブルを防ぐためにも、売り場の詳しい案内はサービスカウンターへ丁寧にお願いする判断力も求められます。

3. ガーデニング外レジ(体力と知識の試練)

花や野菜の苗、育成用の土、プランターなどの小物を覚えるため、一気に知識量が増えます。売り場の水やりやカート回収といった力仕事に加え、一番過酷なのは「夏の猛暑」と「冬の極寒」。天候と向き合う外レジの宿命です。

4. 資材関係レジ(冷や汗必至の最難関)

職人さんや建築関係のプロが集まる売り場です。飛び交うのは聞いたこともないような専門用語ばかり。商品の積み込み対応や店内放送、カート回収とやるべきことが山積みで、背中にタラタラと冷や汗が流れます。

半年ほどでこのポジションをこなす優秀な若いバイトくんもいましたが、不器用な私はここまで辿り着くのに丸3年かかりました。おそらく歴代最長記録です。

現場で出会った忘れられないお客様たち

冷や汗をかくことばかりの現場ですが、それ以上に心に残るのが、お客様とのあたたかいやりとりです。

「土が全部盗まれた!」軽トラ事件の結末

ある日の夕方、資材レジにおじいちゃんが血相を変えて走ってきました。

「ない!ない!さっき買った土がない!」

土と肥料を6袋買って、ご自身の軽トラックに積み込んでいたのを確かに見送ったばかりでした。

「全部ないのですか?」

「そうや!1袋もない、全部ない!さっき荷台に積んでからちょっと買い足しに戻ったんや。戻ってきたら空っぽや!」

駐車場で盗難事件かと焦りつつ、荷台周辺をよく見渡してみると……すぐ近くにまったく同じ色・車種の軽トラックが停まっていました。荷台を覗いてみると、あった!土と肥料が綺麗に積まれています。

なんと、荷台にかかっていたロープやあおりの板の色まで瓜二つ。他人の軽トラを自分の車と見間違えていただけでした。

「あ〜〜!俺の勘違いか……すまんなぁ!」

照れくさそうに頭をかくおじいちゃんを見て、ほっと胸を撫で下ろした夕暮れの一幕でした。

閉店30分前、コワモテなお客様の秘密

ガーデニングの外レジを担当していた、ある日の閉店30分前のことです。

少し強面(こわもて)で体格のいい男性のお客様がやってきました。カートに乗っていたのは、色とりどりのシンビジュームと胡蝶蘭が合計5鉢。

聞けば、知人女性が新しくお店をオープンするそうで、そのお祝いに持っていくのだとか。

「綺麗にラッピングしますね。メッセージにお名前はどうされますか?」

「ん〜〜……名前は、いいや」

「えっ!こんなに立派なお花を5鉢もプレゼントされるのに、名無しですか?」

「恥ずかしいから……名前はいいよ」

「まぁ!なんて粋なことをされるんですか。すごく素敵です!」

そうお伝えすると、強面だった顔を一気に真っ赤にして、照れくさそうに笑っていました。人は見かけによらないものだと、こちらの心まであたたかくなりました。

キツいけれど、やっぱりこの仕事が楽しい

足腰は疲れるので、重い資材や土を扱うのは若い子に頼みます。

70歳になった今、長時間のシフトに入るのはさすがに身体が持ちません。

それでも、色々な人生を歩んできたお客様とふれあい、「ありがとう」と笑顔を交わす瞬間があるから、今でもこの仕事を楽しく続けられています。

体力を過信せず、自分のペースを守りながら、明日も笑顔でレジ台に立とうと思います。

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