「『死にたい』と言う48歳自営業の娘。躁のあとの深い後悔と、遠くから見守る母の決断」

ホームセンターで働く

「ただのうつ病だと思っていた娘が、実は『躁うつ病(双極性障害)』だったと分かった時、私たちはさらなる深い暗闇の中に放り出されました。」

今年、48歳になる自営業の娘。

昨年のうつ病による入院から一転、春には予想もしなかった「躁状態」へ。お金の散財、周囲への攻撃的な言動、薬の拒否……。

そして今、激しい波が引き、襲ってきたのは恐れていた「酷いうつ」と、過去の自分に対する強い後悔でした。

「毎日死にたいと思ってる」

そう呟く娘を前に、片道3時間半の場所に住む70歳の母親である私に、一体何ができるのか。

荒れた部屋を片付けながら、母として、一人の人間として、娘の病気とどう向き合っていくべきなのかを深く考えた記録です。

同じようにご家族の精神疾患や躁鬱病(双極性障害)の波に振り回され、胸を痛めている方に届きますように。

うつ病だと思っていた娘が「躁うつ病」と診断されるまで

昨年の秋、自営業を営む娘がうつ病で入院しました。 手足が震え、眠れず、食べられず、見ていて痛々しいほどの状態でした。

しかし、今年の春、事態は誰も予想しなかった方向へ動き出します。娘が突然「躁(そう)」状態になったのです。

主治医の先生も「ここまでの症状は予想できなかった」と仰るほどの劇的な変化でした。

そこで初めて判明した真実。娘はうつ病ではなく、「躁うつ病(双極性障害)」だったのです。

うつ病と違い、躁うつ病は完治という概念が難しく、生涯にわたって薬を飲み続け、病気と付き合っていかなければなりません。その事実を知った時、胸が押し潰されるような思いでした。

躁状態の嵐:散財、暴言、そして孤独

躁状態の時の娘は、まさに「キレッキレ」でした。

頭が冴え渡っていると錯覚し、自分軸だけで物事を判断するようになります。心配して声をかける周囲の助言には耳を貸さず、それどころか激しく非難し、お金を散財し、家賃の高いマンションへ引越しまでしてしまいました。

「私は病気じゃない。ただの発達障害。今までは自分を抑えてきたけれど、これからは私らしく生きる!」

そう言って薬の服薬すら拒絶する娘の前から、親しかった人たちが一人、また一人と去っていきました。

嵐のあとの「激しい落ち込み」と大きな後悔

そして酷暑の今、恐れていた激しい「うつ状態」が娘を襲いました。

「やっぱり…私、病気みたい…」

自分自身で病気を自覚した娘から連絡を受け、私は片道3時間半かけて娘の家へ向かいました。

部屋に入ると、怠さで体が動かない娘の代わりに、山のような洗濯物と洗い物が残されていました。

サラリーマンと違い、自営業は休めば収入がゼロになります。生活レベルを上げたタイミングでの売上減少も重なり、娘は凄まじいお金の不安と焦燥感に苛まれていました。

しかし、今回のうつ状態で何より娘を苦しめているのは、「躁状態の時の自分の行動をしっかりと覚えていること」でした。

「あの人にひどい事を言ったのは病気のせいだった。そう思って許してくれないかな…」

そう悔やむ娘に、私はあえて厳しく言いました。 「それは無理だよ。あの時の言い方は酷すぎたわ」

娘は力無く項垂(うなだ)れました。

身勝手な望みだと分かっていても、そう思わなければ自分を保てないほど、彼女は後悔の念に押し潰されそうになっているのです。

「毎日死にたい」恐怖の落差と向き合う

「この落差が大きいと、自分を責め続けて自殺してしまうことが一番怖い」 主治医の先生の言葉が頭から離れません。

娘は今、高校生になる孫のために、なんとか命をつないでいます。昨年は首にタオルを巻いていた娘が、今は「起きないと死んでしまう!起きろ!」と自分にハッパをかけ、必死で仕事に向かっています。

気分転換に映画へ連れ出してみても、以前のように感動することができない娘。 「毎日……死にたいと思ってる」 そう吐露する娘の姿に、私は胸が張り裂けそうになります。

新しい処方薬の効果が出るにはまだ時間がかかります。いつやってくるか分からない悲劇の予感に、身がすくむ思いです。

遠く離れた場所から、母として今できること

私自身、現在はホームセンターで仕事をしながら自分の生活を送っています。娘の家までは電車で3時間半。すぐに駆けつけられる距離ではありません。

娘と同居してすべてを抱え込むつもりはありません。お互いの生活と境界線を守ることも、共倒れを防ぐためには不可欠だからです。

けれど、私の身体が動くうちはしっかり働き、いつか娘の住む隣町(同じ系列のホームセンターがある街)へ拠点を移し、もう少し近い場所から静かに見守ることができないか……と、今真剣に思案しています。

おわりに

躁うつ病という波は、本人だけでなく家族の心も激しく揺さぶります。 躁状態の時の暴言に傷つき、うつ状態の時の「死にたい」という叫びに恐怖し、途方に暮れる毎日の繰り返しです。

でも、突き放すでもなく、過剰に干渉しすぎるでもなく、「一歩引いた場所で寄り添う準備をする」こと。それが今、70代の私にできる精一杯の愛情なのかもしれません。

今、同じようにご家族の躁鬱や精神疾患で悩み、出口の見えないトンネルの中にいる方へ。 どうかご自身のお体も大切にしながら、共に焦らず、一日一日を乗り越えていきましょう。

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