「パパは嫌い」娘の一言で決意した離婚。不倫現場で『夢芝居』を歌い、夫を愛人に“差し上げた”26歳の春

「いい男なんだから、浮気のひとつや二つはあるだろう」 そう覚悟して20歳で結婚した私。しかし、結婚生活は想像を絶するものでした。 家を空け、趣味と友達を優先し、自分の子には見向きもしない夫。そんな彼が、他人の子の面倒を見ながら愛人の店でシェイカーを振っていた……。

これは、44年前、26歳だった私が、幼い二人の娘を連れて「自由」を選んだ時の記録です。優先順位の最下位にされた家庭を捨て、自分の足で歩き出すと決めたあの夜。愛人の前で歌った一曲の歌と、未練を断ち切った潔すぎる決別劇。

「家族とは何か?」に悩むすべての人に、私の卒業の物語を贈ります。

優先順位「1位 友達、2位 仕事、3位 家庭」

50年前、私は20歳で結婚しました。船乗りだった夫は、一度乗船すれば20日は帰らず、10日の休みも農家の手伝いか友人との付き合いに没頭する人でした。

結婚半年で浮気が発覚した時も、私はどこか冷めていました。「いい男なんだから、誘惑くらいあるだろう」と。 しかし、どうしても許せないことがありました。それは、夫が全くの「非・子煩悩」だったことです。

ある日、夫に尋ねました。「あなたの人生の優先順位は?」「一位、友達。二位、仕事。三位、家庭」

即答でした。その瞬間、私の中で何かが音を立てて崩れました。「この人とは、一生を共にできない」。4歳の娘が放った「パパは嫌い!」という言葉が、私の背中を強く押しました。

興信所の報告と、愛人の正体

離婚の準備は、淡々と進めました。興信所に調査を依頼すると、わずか4日で報告書が届きました。 相手は32歳のスナック経営者。そこには、自分の子の面倒は見ないくせに、彼女の連れ子と仲睦まじく遊ぶ夫の姿が写っていました。

「一体、どんな女性なのだろう?」 憎しみよりも好奇心が勝りました。私と子供たちを放り出してまで彼が夢中になる女性を、この目で確かめたかった。私はある夜、一人でタクシーに乗り、そのスナックのドアを開けました。

漆黒のカウンターで歌った『夢芝居』

店に入ると、カウンターの中で夫が慣れた手つきでシェイカーを振っていました。 驚く夫を無視し、私は端の席に座り「水割りを」と注文しました。動揺する夫が「子供は?」と聞いてきます。「大丈夫、寝かせてきた」。

そのやり取りを、愛人の女性がじっと見つめていました。 私は、この日のために猛練習してきた曲をカラオケに入れたのです。梅沢富美男さんの『夢芝居』。

🎵こなしきれない 涙と笑い 恋はいつでも初舞台〜

歌いながら、彼女を観察しました。なるほど、夫の好みはこういう人か。 一曲歌い終わると、不思議なほど心はスッキリしていました。私は彼女を呼び、静かに、けれどはっきりと言い残しました。

「おあいそは、あの男性(夫)につけておいてください」

店を出た私を、彼女が追いかけてきました。「もしかして、奥さんですか? 独身だって聞いてたんです。すみません、すぐ別れます!」 必死に謝る彼女に、私は笑ってこう返しました。

「いいんですよ。どうせすぐ別れますから。彼、あなたに差し上げます」

「俺が何をしても許してくれると思ってた」

自宅には記入済みの離婚届を用意していました。 夫の友人が何人も集まり「今回だけは勘弁してやってくれ」と頭を下げましたが、私の決意は1ミリも揺らぎません。

一番驚いたのは夫本人でした。 「お前は、俺が何をしても許してくれると思ってた……」 その甘ったれた言葉に、呆れを通り越して笑いが出そうでした。

浮気のひとつや二つ、子煩悩な父親であれば耐えられたかもしれません。けれど、家族を三の次にする男に、私の人生を預ける価値はない。

26歳の春。5歳と2歳の娘の手を引き、私は離婚しました。 両親も、そして誰より娘たちが、私の決断を支持してくれました。

「パパは嫌いだからいなくても、全然平気だよ。」 そう笑う娘たちの笑顔が、新しい人生の始まりを祝福してくれているようでした。

それから数年間、倒れるほど働いても貧困生活の大変な時期もありましたが、ただの一度たりとも離婚を後悔したことはありません。

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