〜親の反対、元カノ自慢、同居、そして後悔。結婚前に「違和感」を無視してはいけない理由〜
「ただ、ただ好きだった」。その一心で、私はすべてに目をつぶってしまいました。
現在70歳の私は、これまでに3度の結婚を経験しました。今は8年前に再婚した、50年前の元カレである夫が今年4月に他界しました。ふと思い出すのは20歳の秋、最初の結婚を決めたあの頃のことです。
親友の忠告も、両親の反対も、そして何より自分自身の心が発していた「この結婚、大丈夫?」という悲鳴さえも、「好き」という強い力で封じ込めてしまった私。
今回は、一目惚れから始まった最初の結婚が、いかに甘く、そして過酷なものだったのかをお話しします。もし今、結婚を前にして拭いきれない不安を抱えている方がいたら、私の苦い経験が何かのヒントになれば幸いです。

恋は盲目。「元カレの上司」に一目惚れした20歳の私
18歳で当時の彼(今の夫)を振り、私の心は7歳年上の男性に奪われました。職業は船乗り。ワイルドで大人の魅力に溢れた彼に、私は文字通り「盲目」になっていたのです。
猛アタックの末に婚約まで漕ぎ着けた時は、人生の絶頂にいるつもりでした。しかし、そこから少しずつ、歯車が狂い始めます。
婚約期間に感じた、消えない「違和感」の正体
彼は、私の前で楽しそうに「元カノ」の話をしました。写真を見せられることもありました。驚きと悲しみで声が出ない私をよそに、彼は無頓着に笑顔で話をしていました。
「愛されている実感」がないまま過ぎていく9ヶ月。 親友からは「あの人だけはやめときな」と止められ、母からは「長男との結婚は苦労する」と反対されました。神様が「やめたほうがいいよ」と囁いている気さえしました。
けれど、親戚への紹介も済ませてしまった後。私は「破談にする勇気」を持てず、不安を「根拠のない自信」にすり替えて、20歳で嫁ぐ道を選んだのです。
「女中業」のような日々。新婚生活の理想と現実
結婚して1週間。夫は船に乗り、家には義両親と兄弟が残されました。 朝5時に起き、家族の食事作り、掃除、洗濯。それだけではなく、農作業や牛の世話、軽トラでの野菜の市場運び……。
友達がディスコで青春を謳歌している頃、私は同世代のいない婦人会に顔を出していました。「私は何のために結婚したんだろう」という後悔が、波のように押し寄せます。本当に苦痛でした。
ようやく帰ってきた夫も、家には居つかず朝帰り。 「待ってなくていい、わざとらしい」 その言葉に、私は悟りました。私にとっての結婚は、愛を育む場所ではなく、諦めを受け入れる場所なのだと。

妊娠と、自分でも驚いた「正直な本音」
「このままではいけない」 そう思い立ち、医療事務の資格取得に励み始めた矢先のことでした。待望の妊娠が判明します。
大好きな人の子を授かった喜び。しかし、その瞬間に私の頭をよぎったのは、あまりにも残酷で正直な本音でした。 「ああ、これで離婚ができなくなってしまった」 そう感じた自分自身に、私は何より衝撃を受けたのです。
終わりに:今のあなたへ伝えたいこと
「惚れた弱み」は、時に冷静な判断を狂わせます。 今の時代、一生独身でいる選択肢もあれば、何度でもやり直す選択肢もあります。
もし、結婚前の「今」この文章を読んでいる方がいて、心の中に小さなトゲのような違和感があるのなら、どうかそれを無視しないでください。
「私が尽くせば変わる」という期待は、残念ながら甘い幻想に終わることが多いものです。20歳の私に欠けていたのは、自分自身の「嫌だ」という声を信じる勇気だったのかもしれません。
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