免許証返納70歳の分かれ道。車好きの夫が免許を返納した理由と、警察官に「傷だらけ」と指摘された知人の話

「不便になるのは嫌だから、まだ運転する」

そう語る同い年の知人の言葉に、複雑な思いが込み上げました。我が家から車が消えて3年。かつて車を愛した主人が、ようやく免許返納を決意しました。

車を手放せば、雨の日の通院は辛く、移動の自由も制限されます。しかし、友人のある「事故」をきっかけに警察官から告げられた厳しい言葉を聞いたとき、私たちの選択は間違っていなかったと確信したのです。

経済的なリアル、病気との向き合い方、そして高齢ドライバーの危うい現実。70歳を迎えた我が家の「車を手放した真実」を綴ります。

■ 月4万円の維持費は消えたけれど……

かつて我が家の家計を圧迫していた、月々41,000円の車の維持費。 車を手放したことで、現在の交通費は月6,000円程度にまで抑えられています。

浮いた差額は月35,000円。「これで少しは楽に……」と思いたいところですが、現実はそう甘くありません。そのお金はずっと、すべて主人の医療費へと消えています。

高額療養費制度があるため通院費は上限がありますが、想定外だったのは「入院」に伴う保険適用外の費用です。食事代や雑費が積み重なる中、唯一の救いは、長年掛けてきた県民共済の入院手当でした。車を維持する余裕がなくなった今、この備えがどれほど心強かったか。

■ 「車好き」のプライドを置いた日

主人が癌で右腕の自由を失ってから、3年が経ちました。 私は私で、10年前の交通事故による右脚3度の手術を経て、すでに運転からは退いています。

「もう一度、ハンドルを握りたい」 車が好きだった主人にとって、免許は単なるカードではなく、自分の自由とプライドの象徴だったはずです。けれど、動かない右腕を見つめ、不便な通院生活を送る中で、主人はようやく「返納」を口にしました。それは、今の自分たちを受け入れる、静かな決断でした。

■ 警察官が放った「耳の痛い一言」

そんな折、仕事仲間の女性の話を聞き、背筋が凍る思いがしました。 同じ70歳の彼女は、強風の日にドアを開けた瞬間、隣の車にぶつけてしまったそうです。

駆けつけた警察官が、彼女の車を見て放った言葉。 「あちこち傷だらけですね。そろそろ免許返納を考えたほうがいいですよ」

本人は無自覚でも、車体に刻まれた傷が「運転の限界」を物語っていたのです。それでも先輩は「不便なのは嫌だ」と、今もハンドルを握り続けています。

■ どちらが本当の「不便」か

雨の日や風の強い日の通院は、確かに辛いです。バスを待ち、タクシーを手配する手間は、車があった頃には想像もできなかった「不便」です。

しかし、知人のように「いつ誰を傷つけるか分からない」という不安を抱えながら、傷だらけの車を走らせる精神的な負担に比べれば、今の不便さは納得できるものです。

車を手放し、医療費と向き合う日々。 私たちは「不便」を選びましたが、同時に「事故の加害者にはならない安心」を手に入れました。70歳。この先、どう生きていくか。傷だらけの車を見て警察官が放った言葉は、他人事ではない重みを持っています。

#免許証返納#70代の運転#車の維持費より安い交通費

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