18歳、期待と不安を胸に飛び込んだカーフェリーの会社。
全国から集まった約100人の同期と過ごした御殿場での研修は、まるで大人の修学旅行のようで、今でも鮮やかに思い出せます。
あれから実に52年。
それぞれの人生を歩み、年賀状だけのやり取りが続いていた大切な同期の友人と、27年ぶりに顔を合わせることができました。
今年4月に旅立った私の夫も、実は同じ研修を共にした同期のひとり。
生活の変化の中、彼女に連絡を取ったことがきっかけでした。
久しぶりに顔を合わせた友人の笑顔は昔のままでしたが、お互いに重ねてきた歳月の分だけ、家族のこと、子どものこと、そして胸に抱える切なさがありました。
今回は、27年ぶりの再会で見えた「70代それぞれの人生模様」を綴ります。

52年前の春、18歳で飛び込んだカーフェリー会社と御殿場研修
52年前、18歳の春。 私はカーフェリーの会社に就職しました。
同期はおよそ100人。
北海道から東北、東海、九州まで、全国津々浦々から新入社員が集まり、静岡の御殿場で13泊14日もの合宿研修が行われました。
富士山のふもとで過ごしたその2週間は、もう修学旅行そのもの。毎日が賑やかで楽しくて、半世紀以上経った今でも大切な友人として繋がっている仲間がたくさんいます。
今回再会した彼女も、そんな濃い時間を一緒に過ごした大切な同期のひとりです。
年賀状だけで27年|夫を見送り、交わした久しぶりの約束
最後に会ったのは、私が2回目の結婚をして京都に住んでいた頃のこと。
彼女が京都旅行に来た際に会って以来、なんと27年もの歳月が流れていました。その間はずっと、年に一度の年賀状だけのやり取りでした。
今年4月、私の夫が旅立ちました。 もちろん、彼女も夫のことをよく知っています。
私にとっても、彼女にとっても、夫はあの御殿場で同じ釜の飯を食った同期生でした。
5月に思い切って彼女へ連絡を入れました。
彼女には一人息子さんがいて、結婚を機にお嫁さんの実家の近くへ引っ越したとのこと。
2人目のお孫さんが生まれたそうで、「ご主人と一緒に旅行を兼ねて息子のところへ行ってくるね。2ヶ月くらい滞在する予定だから、帰ってきたらぜひ会おう!」と約束を交わしました。
笑顔は昔のまま!27年ぶりの再会と積もる話
そして先日、念願叶ってようやく再会を果たすことができたのです。
「あ〜〜! 久しぶり〜〜!」
姿を見つけた瞬間、一気に52年前の空気が戻ってきました。 お互いにそれなりに歳は取りました。白髪も増え、シワも刻まれ、すっかり「おばあちゃん」の年齢です。
けれど、顔を合わせてニッコリ笑った瞬間の表情は、18歳のあの頃と少しも変わっていませんでした。
カフェでお茶を飲みながら、積もる話を始めました。
「もう孫には会えないかも」友人が漏らした息子との切ない距離感
旅程では2ヶ月滞在するはずだった息子さんの家。孫に会えて本当に嬉しかったそうなのですが、彼女の表情がふと曇りました。
息子さんの家に滞在したのは、予定の2ヶ月ではなく、なんとわずか1週間だったというのです。
原因は、お嫁さんではなく、なんと息子さん自身でした。 彼女がお孫さんに接するやり方に対して、息子さんがいちいち細かく、うるさく文句を言ってきたのだそうです。
「あんな性格の子だったっけ……」と戸惑う彼女。そのあまりの言われようを見かねたご主人が、「もういいやろ。帰ろうや」と助け舟を出し、早々に引き上げてきたのだと話してくれました。
「もう……孫に会うことはないと思うわ……」
ぽつりとこぼしたその横顔が、とても寂しそうで、胸がぎゅっと痛くなりました。
大人になり、自分の家庭を持った子どもとの距離感の難しさ。親の心、子知らず。けれど親にとっては、いくつになっても我が子です。
切ない親心に、私もただ静かに頷くことしかできませんでした。
それぞれの70代|闘病、別れ、そして元気に暮らす同期たちの現在
その後は、お互いが知る同期たちの近況報告会になりました。
やっぱり、離婚を経験している人はごく少数。多くの同期が、今も夫婦ふたりで元気に暮らしているようで、それを聞いて心から「良かったなぁ」と安心しました。
さすがに私のように3回も結婚した猛者はいないようでしたが(笑)。
それでも、70歳を迎えれば誰しも順風満帆とはいきません。
老老介護でやむを得ず別居している人。 離婚して今も現役でバリバリ働いている人。 重い病気と闘っている人。
そして……乳がんや心筋梗塞、交通事故などで、すでにこの世を去ってしまった仲間たちの名前も聞きました。
「あぁ、みんなが元気なうちに、もう一度会いたかったなぁ……」 寂しさと懐かしさが入り混じった溜め息がこぼれます。
同期同士で意外なふたりが結婚していたという驚きのエピソードや、私が退職した後の職場の裏話なども飛び出し、驚いたり大笑いしたり。
彼女が持ってきてくれた昔の写真を見せてもらいながら、アルバムをめくるように青春の思い出をたどりました。
大阪へ引っ越す前にまた会おうね。心も体も若返ったあたたかい一日
楽しい時間はあっという間に過ぎ、別れ際。 「私が大阪に引っ越すまでに、また絶対に会おうね!」と固く約束を交わして手を振りました。
いろいろな荷物を背負い、家族の悩みや別れを経験しながらも、みんな懸命に今日を生きている。
昔を分かち合える友と笑い合えたことで、心も身体も不思議と軽くなり、何歳も若返ったようなエネルギーをもらいました。
懐かしい友よ、本当にありがとう。また笑顔で会いましょうね。
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